埼玉県の自治体とその公営斎場の事情

年々減少している自治体の数、統合する理由は

埼玉県の自治体の数は63市町村。40の市と、22の町、村が1あり、その数は日本の全都道府県の中で3番目に多い数となっています。明治時代に市制町村制が敷かれたときに、日本全国の自治体の数は15,859(うち市は39)でした。明治の大合併、昭和の大合併と地方自治の法律が変更されるにつれ合併し、自治体は数を減らしていき、平成の大合併が終了した平成18年3月の段階でその数は1821(うち市は777)と初期の数の8から9分の1となっています。
市町村が合併し、統合していくのには理由があります。それは自治体が行うサービスや行政としての効率化を促進するためです。自治体が多ければそれだけ行政的な手続きを行うのに時間がかかります。例えば県内に自治体が1000あれば、管理をするのにその1000の自治体をそれぞれ管理をしなければなりません。その自治体の数が100であれば、単純に行う手続きは10分の1になるからです。また消防や警察、学校といった施設を管理していくのに適切な自治体のサイズというものもあります。明治時代とは異なり、通信技術や交通手段が大きく進歩した現在では世帯数に対してそこまで多くの自治体が必要なくなったのです。
現在でも多くの住民サービスは市町村の単位で実施されており、多くの公共施設が自治体によって設置されています。

複数の自治体で共同で行っている公的サービスもある

公共施設や公的なサービスというのは必ずしも自治体の単位で設置されているものではありません。いくつかの公共サービスは自治体の単位ではなく、複数の自治体によって管理運営される広域行政サービスという形をとっています。し尿処理や廃棄物処分場、水道に関する業務や介護に関する業務、国土保全などは、自治体の規模やその対象となる範囲によっては、複数の自治体もしくはその関連の事務組織や代替執行などの形で複数の自治体で利用できるようになっています。
斎場施設もそうした複数の自治体で利用できる広域行政で賄われているサービスのひとつです。

斎場も広域行政範囲で利用されているもの、自治体単体で利用されているものがある

埼玉県の21の公営斎場のうち11の斎場は複数の自治体によって利用されています。そのうちの多くは斎場に関する組合によって管理運営されています。
こうした広域で利用できる広域公営斎場が多く存在する理由は、斎場という施設が市町村単位ではなく人口に対して必要なものであるということがあります。そのため、人口の多い自治体では複数の斎場があり、反対に人口が少ない自治体の場合には単独で斎場を所有する必要性がありません。またその斎場の規模によって対応できる人口も異なります。大規模な斎場であれば多くの人口に対応できるのに対して、小規模の斎場では多くの人口に対応することができません。
火葬施設である斎場はその施設の性質上できるだけ統合したほうが良いという理由もあります。実際、現在実働している斎場施設はかつてあった斎場よりも規模が大きいものが多くなっており、その施設の設備に関しても火葬のみを行う施設ではなくお通夜や告別式を行える式場が併設されている施設も多くなっています。
その背景としては葬儀を行う場所が、自宅から葬儀式場へと変化したことから葬儀専門の式場のニーズが増えたことがあります。近年新設もしくは回収された斎場の多くには葬儀式場が併設されているものが多くあります。
そのため埼玉県の公営斎場のおおよそ半分は複数の自治体で広域斎場なのです。

埼玉県の広域公営斎場、越谷市斎場の例は

越谷市、松伏町、吉川市が関連地域となっている越谷市斎場もそのひとつです。越谷市斎場は埼玉県東南部地域にある広域公営斎場です。2005年に供用開始となった比較的新しい公営斎場です。旧越谷市斎場は火葬施設しかありませんでしたが、近年増えつつある斎場に対する葬儀式場へのニーズから葬儀式場が併設された斎場となっています。