公営斎場はなぜ必要とされるようになったのか

火葬と葬儀の公的な見解の違い

葬儀の役割というのは時代によって異なります。法律上葬儀に関する規定はなく、あくまで個人的に執り行っているものなのです。冠婚葬祭の冠婚である、成人式や結婚式が公的な性質を持っているものではあるものの、あくまで行うのは個人です。葬儀に関して勘違いしやすいのは、葬儀は個人が趣向として執り行っているものであるのに対して、火葬は公衆衛生などの観点から公的なものだということです。

葬儀に関する法的な規制はほとんどない

分かりやすく説明するのであれば、火葬や埋葬は行わなければ周辺に被害を与えることになります。それに対して葬儀は行わなかったとして周辺に何ら被害は発生しないのです。
そのため、火葬と埋葬に関しては詳細なルールが規定されていますが、葬儀そのものに関してはなんら規定がないのです。
多くの自治体が提供するおくやみに関するサービスとしては、火葬を行うための施設の運営があります。しかし、一方で葬儀に関する施設はないところも多くあるのです。

式場の需要の増加から求められるようになった公営斎場

しかし、近年建設される葬儀火葬に関する施設には葬儀式場が併設されているものが多くあります。公営斎場のほとんどには火葬場が設置されています。それは火葬が公的な性質が非常に強く、またより生活に必要不可欠なものであるからです。そのため、遺体の衛生的な処理という意味で多くの自治体にはその自治体に対応する公的な施設があるのです。
一方で葬儀を行うための施設がそうした火葬施設に併設されていることも事実です。ではこうした葬儀式場が増加しているのにはどのような理由があるのでしょうか。
ひとつは葬儀を執り行う場所が変化してきたことがあります。以前は葬儀の多くは、自宅や地域の施設で行われていました。しかし、住宅事情の変化などから少しずつ自宅で葬儀を行うことは少なくなっていきました。現在では5人に4人が葬儀専門の葬儀式場で葬儀を執り行っています。そのため、葬儀を行う人にとって、葬儀式場は欠かせない設備となっているのです。

複数の自治体で大規模な公営斎場を運営することも

大規模な自治体を中心に、そうした社会的な変化に対応するために自治体の運営する公営斎場を行っています。また、自治体単位ではなく複数の自治体で供用している広域公営斎場もあります。
単独で公営斎場を所持しているのは、ほとんどが政令指定都市です。特に100万人を超える自治体の場合、複数の斎場を所有していることもあります。
例えば埼玉県東南部地域の場合、越谷市、吉川市、松伏町の三自治体で、合同で利用している斎場として越谷市斎場があります。これらの自治体の人口の合計は約45万人です。増えていく葬儀関連に対する要望に対して自治体の提供するサービスの形としてこうした斎場を運営しているのです。