葬儀を行う場所の今昔

海外の葬儀を行う場所や以前の葬儀を行う場所は

かつて葬儀というのは自宅、もしくは宗教施設で行うものでした。現在のように葬儀を専門の葬儀式場で行うことが当たり前になったのはここ半世紀以内のことです。
もともと葬儀というのは自宅で行うものでした。また、場合によっては檀那寺などのお寺で行うこともありました。仏教以外の宗教とゆかりの深い方は教会や神社などその宗教にゆかりのある場所で葬儀を行っていました。
海外の場合には現在でも葬儀は主要とする宗教に関係する施設で行うことがほとんどです。西欧などの場合、チャペルや教会など故人の宗教に関する場所で葬儀を行うのが一般的です。多くの場合、そうした施設のそばには墓地があり、葬儀を行ったあと火葬もしくは土葬を行います。火葬と土葬の割合についてはその国の文化によってそれぞれですが、カトリックの教えが強い地域では土葬がメインで行われています。

火葬と人口密度の関係は

火葬と土葬の関係には宗教的な要素以外に社会的な要素もあります。特に人口の集中する都市部では土地の利用などの事情もあります。例えば日本の場合、江戸時代ごろから火葬が多く行われていました。その背景には都市部に人口が集中していたため、墓地のための用地が確保できなかったこともあるかもしれません。また、単純な人口密度だけでなく、日本の建築物が木造で平屋のものが多かったこともその一因でしょう。
現在でも先進国の火葬と土葬の割合を見てみると、多くの国で火葬の割合が上昇しつつあります。火葬は費用の点でも用地の面でも土葬よりもコストパフォーマンスに優れているからです。

葬儀を行ってから火葬施設に移動しなければならない

日本では古くから火葬が行われてきました。その火葬率の高さを支えてきたのは民営と公営の火葬施設です。火葬を行うためには円滑に火葬を行うための施設が一定以上確保されている必要があります。日本では火葬施設の数が十分に確保されているため99パーセントを超える火葬率を確保できているという背景もあるのです。
しかし、海外では葬儀を行う場所と埋葬場所(もしくは火葬を行う場所)が非常に近い場所にあるのに対して、日本ではその場所が離れた場所にあることがほとんどです。現在では葬儀の多くは自宅ではなく斎場で行われていることがほとんどです。その斎場というのは民間の葬儀業者が運営する葬儀専門の式場です。そういった式場で葬儀を行った場合にはあらためて火葬を行う場所に移動しなければならないことになります。

海外と同じように、葬儀式場と火葬施設が同じ敷地内に

公営斎場というのは火葬を行うための施設のことです。率直な言い方をするのであれば、火葬場のことを指しています。現在では西欧のように火葬場に併設された葬儀式場も作られています。そうした公営の葬儀式場に特定の名称はありませんが、火葬施設と併設されているため最近では火葬施設と葬儀式場を合わせて公営斎場という呼び名で呼ぶことが多いです。
このような式場併設の公営斎場は現在では増加しており、特に火葬炉の多い火葬施設の場合にはこのように葬儀式場が併設されていることが多くあります。火葬炉の多い大型の火葬施設というのは大きな自治体によって運営されているものか、もしくは複数の自治体によって共同で利用されているものがほとんどです。
こうした大型の火葬施設に併設された葬儀式場の場合には、葬儀を行ってから火葬を行うための移動が不必要なこと、そして運営しているところが自治体、もしくは自治体に関連する企業であるため、必要不可欠なものがきちんとそろっているということ、そして営利目的ではないため利用しやすい料金設定になっているということがあります。
葬儀の場所というのはかつての自宅や宗教施設などの場所から、民営の葬儀式場へと変化して行きました。そして現在ではその一部は公営の葬儀式場へと変化してきています。