埼玉県の公営斎場とその背景
埼玉県にある21の公営斎場
埼玉県には21の公営斎場があります。そのうち、ひとつの自治体で利用している公営斎場はさいたま市浦和斎場、さいたま市大宮聖苑、川越市斎場、熊谷市立葬祭施設、行田市斎場、三郷市斎場、所沢市斎場、川口市めぐりの森です。その他の多くの斎場については複数の自治体で利用することができる公営斎場となっています。
以前の火葬施設と現在の火葬施設の違い
公営斎場というのは公的な火葬施設のことです。火葬施設が多く作られた明治から昭和初期にかけて、民間の火葬施設が多く作られました。遺体を自動車で運搬するのが現代では当たり前ですが、もともとは人力で運んでいました。そのため人の足で移動可能な圏内に火葬施設が作られたのです。都市部から離れた集落ではその集落で亡くなった人を火葬する火葬施設があり、都市部では住宅街から少し離れた場所に多くの火葬施設が作られたのです。
火葬場というのはひとつの経済圏や生活圏の中に必ず火葬場があったのです。
交通手段の発達や輸送方法の発展により経済圏や生活圏は拡大していきました。霊柩車の登場により遺体はより遠くまで搬送することが可能になったのです。現在では亡くなった後に実家で葬儀や火葬を行うため、遺体を500キロメートル以上も搬送することもあります。火葬を行うための施設は小さな生活圏にある必要はなく管理や運営というものによって、その設置場所が変化してきているのです。
数はだんだん少なく、規模はどんどん大きく
現在では多くの自治体でひとつの斎場を利用していることは珍しくありません。例えば比企広域市町村圏組合東松山は、東松山市、滑川町、嵐山町、小川町、川島町、吉見町、ときがわ町、東秩父町の8つの市町によって利用されています。
広域公営斎場というのは特段自治体の規模によって決まっているわけではありません。埼玉県はさいたま市、川口市についで川越市、越谷市や所沢市、春日部市などの自治体が大きいです。しかし、上記の6つの自治体のうち独自で斎場を所有しているのはさいたま市、川口市、川越市、所沢市の4つだけです。越谷市は吉川市、松伏町とともに越谷市斎場を、春日部市の場合には蓮田市、白岡市、杉戸町とともに埼葛斎場組合斎場を利用しています。
こうした斎場施設というのは、一般的に火葬施設については住民でなくても利用できます。一方公営斎場の葬儀式場施設については基本的に住民でなければ利用できないところがほとんどです。
そもそもなぜ公営斎場が必要なのか
火葬が公営の斎場で行われる理由としては火葬が公衆衛生の点や防犯などの観点から公的な施設で取り扱われるべきと考えられているからです。そのため自治体の設置する公営の火葬施設では火葬に関する業務を地域に関係なく行うべきであると考えられています。火葬は現在の日本ではくらしの中で不可欠な要素と見なされているのです。もちろん自治体や地域の施設であるため、地域住民ではない場合には住民価格が適応されません。
一方、葬儀式場に関しては、必要不可欠な要素とはみなされません。そもそも葬儀は宗教的な儀式であると考えられているからです。しかし、現在の日本では少しずつ葬儀式場併設の公営斎場が増えてきています。その背景には葬儀を行ううえで葬儀式場が必要不可欠なものとなってきているからです。
公営斎場はおくやみの際に、極力住民に金銭的な負担をかけないよう作られたものです。おくやみの際に費用に不安がある際には、まず公営斎場の利用を検討してみてはいかがでしょうか。