公営斎場を利用する際に禁止されている事項、宮型霊柩車の禁止

公営斎場の利用規約の例

公営斎場は公的な施設であるため、さまざまな規則があります。
一般的なルールとしては次のようなものがあります。

・葬儀式場内以外の花輪の設置の禁止(斎場敷地内であっても、他の式場で葬儀を行っている別の方がいるため)。
・葬儀式場への案内看板の設置の禁止(周辺住民への迷惑となる可能性がなる可能性があるため)。
・斎場内の写真やビデオなどの撮影は個別の式場やお清め室、遺族控室に限り、共用スペースに関しては利用しない(個人情報や肖像権の問題から)。
・ろうそくや線香などは消防的な面から式場内及び告別室(場合によっては霊安室も含む)でしか利用することができない。
・火葬を執り行うときに、火葬炉に悪影響を及ぼす可能性があるもの(主にプラスチック製品やビン、缶、金属など)は棺の中に入れることができない。また棺として利用することができない。
・ペースメーカーや骨を繋ぐボルトなど、利用目的で体内に何かを埋め込んでいる場合には火葬の際に影響を及ぼす可能性があるためあらかじめ申し出る。

少しずつ減少しつつある宮型霊柩車

これらの事項というのは迷惑や消防の観点から当然のことが定められています。また公共の場として当たり前のことが書かれています。
埼玉県の場合これらの内容以外に条例で定められていることとして、宮型霊柩車の乗り入れが禁止となっています。
大正時代に作られた霊柩車はその地域ごとに独自の進化を遂げていきました。初期の頃は通常の乗用車や唐草模様が付いているだけだったものがやがて変化して行きました。昭和末期には宮型と呼ばれる金ぴかで和風の建築物を模した自動車が主流になっていきました。また地域によっては金色の様相だけでなく、黒檀や紫檀、白木などの和的な建築部材を利用した霊柩車も作られました。

霊柩車の迷信、そして周辺住民の心情を慮って

これらの霊柩車というのは葬儀を執り行う遺族や取り仕切る葬儀業者には好まれたものの、それらの人にはあまり好まれませんでした。日本の迷信のひとつに「霊柩車を見たら、親指を隠せ」というものがあります。霊柩車を見て親指を隠さなければ親の死に目に会えない、などと言われたのです。
その理由としては日本人の根本的な思想として死に対する穢れの考えがあります。死は忌むべきものであり縁起が良くない。そうした状況で大切な親指を出しているのは良くないというものです。

冠婚葬祭は周辺住民に迷惑がかからないことを考えて行う

葬儀式場や火葬場なども忌むべき施設とされています。多くの葬儀式場が住宅からは離れた場所や駅前であっても駅の裏側にあったりするのがその理由です。葬儀式場が近所にあるという状況をその住民は好みません、そのため公的な斎場を建てる際には周辺の住民などに迷惑がかからないよう、葬儀に関するものを周囲にできるだけ出さないようにしているのです。