もともとは神道の儀式の場を示していた斎場

神道と仏教の違いをどのように識別しているか

日本に古くからある宗教、仏教と神道。わたしたちが日常生活していてもその違いを強く意識している人は非常に少ないでしょう。お寺は仏教、神社は神道。仏様を祀るのが仏教、神様を祀るのが神道。お葬式をするのは仏教、結婚式を行うのは神道。このような識別をしている人は多くいらっしゃるでしょう。しかし細かいことに関して意識している人は少なく、本来神社で行うべき神道式の参拝方法で仏閣を参拝している人などを多く見受けることがあります。

仏教と神道を混同してしまう理由は

こうした混同というのは実は仕方のないことなのです。日本では古くから仏教と神道というものに対して別のものだと考えるのではなく、同一のものであると考える傾向にあったのです。日本の土着宗教である神道と大陸から伝わった仏教は、お互いに相反するものだと考えるのではなく神仏習合と言ってひとつの信仰体系だという考えが古代からあったのです。本地垂迹説といって仏や菩薩が日本では仮の姿として神の姿をとっているという考えや、逆に日本の神が仏教の中では仏という姿をとっていると考える反本地垂迹説が出されていました。両方の宗教者によって1000年近くそうした融和的な方向性がとられた結果、両方の宗教は近づいていき混合するようになっていったのです。

大きな死に対する考え方の違い

そもそもの両宗教の中では死に対する考え方が異なりました。仏教では死は仏になることであり、亡くなった方は「成仏する」つまり仏に成るという思想がありました。亡くなった方がきちんと仏になれるように、遺された遺族が仏になる手助けとして供養を行うという考えがあったのです。神道では死は死穢として忌むべきものであると考えられていました。死というものは祓うべきものであり、葬儀で行うべきはこうした穢れを祓うという信仰があったのです。斎場というのはもともと神道で儀式を行う場所であり、死という穢れを祓う場所は神社のような神聖な場所ではなくその他の場所に設けられたのです。

自治体が提供する公営斎場とは

現在では葬儀を行う場所という意味で斎場という言葉が使われています。また火葬場のことも斎場と呼んでいます。葬儀にまつわることを行う場所を斎場と呼んでいるのです。現在では葬儀を行う場所として斎場は欠かせない場所となっています。火葬を行う施設はもちろんのこと、住宅事情の変化から葬儀を行う場所も必要とされるようになってきたのです。そのため最近では多くの自治体で新設された斎場は火葬場併設の葬儀式場が一般的となっています。